チャートが示す市場の二面性：株式は「強気」、為替は「弱気」
2025年6月25日の金融市場は、テクニカル分析の観点から見ると、株式と為替で全く異なる顔を見せた非常に興味深い一日でした。日経平均株価のチャートが短期から長期まで一貫した「強い買い」シグナルを点灯させる一方で、ドル・円のチャートは正反対の「強い売り」シグナルを継続しています。本記事では、この対照的な状況を、ご指定いただいたInvesting.comのテクニカル指標を基に深掘りし、その背景にある市場心理と今後の展開について解説します。
日経平均株価 テクニカル分析（日足）
【注記】本分析は、ご指定のInvesting.comのテクニカル分析ページに掲載されているサマリーと指標に基づいています。
参考: https://jp.investing.com/indices/japan-ni225-technical
総合サマリー: 強い買い
まず結論として、Investing.comの日足チャートに基づくテクニカル分析の総合評価は、最も強気な「強い買い」となっています。これは移動平均線とオシレーター系指標の両方が、揃って強気のシグナルを発しているためであり、現在の市場が明確な上昇トレンドにあることをテクニカル的な観点から裏付けています。
移動平均線分析: 全期間でパーフェクトオーダー
テクニカル分析の基本である移動平均線は、現在「強い買い」を示しています。具体的には、期間5、10、20、50、100、200の全ての単純移動平均線（SMA）および指数平滑移動平均線（EMA）が「買い」シグナルです。これは、現在の株価が全ての期間の平均コストを上回っていることを意味し、短期的なトレーダーから長期的な投資家まで、あらゆる時間軸の市場参加者が強気であることを示唆しています。このように全ての線が上から「短期・中期・長期」の順に並ぶ形は「パーフェクトオーダー」と呼ばれ、非常に安定した上昇トレンドの典型的なパターンです。下落したとしても、これらの移動平均線が幾重にもサポートライン（支持線）として機能するため、押し目買いが入りやすい地合いと言えます。
オシレーター分析: 勢いの強さを示す「買われすぎ」領域
買われすぎ・売られすぎを示すオシレーター系の指標も、「強い買い」を示唆しています。相場の勢いを測るRSI(14)は70.301で「買い」シグナルです。一般的に70を超えると「買われすぎ」とされ、短期的な過熱感への警戒を促しますが、これは同時にトレンドの勢いが極めて強いことの証左でもあります。力強い上昇トレンドは、しばしばRSIが高い状態で維持されるため、すぐに天井と判断するのは早計かもしれません。また、トレンドの方向性と転換点を示すMACD(12,26)も明確な買いシグナルが点灯中であり、他の多くのオシレーター指標も買いを示唆していることから、市場の上昇モメンタムの強さが確認できます。
ドル・円 為替テクニカル分析（日足）
【注記】本分析は、ご指定のInvesting.comのテクニカル分析ページに掲載されているサマリーと指標に基づいています。
参考: https://jp.investing.com/currencies/usd-jpy-technical
総合サマリー: 強い売り
日経平均とは対照的に、ドル・円の総合評価は、最も弱気な「強い売り」です。移動平均線、テクニカル指標ともに、強力な売りシグナルが点灯しており、明確な下落トレンド（円高・ドル安）が形成されていることを示しています。
移動平均線分析: 抵抗帯として機能する移動平均線群
ドル・円の移動平均線は「強い売り」シグナルです。日経平均とは逆に、期間5、10、20、50、100、200の全ての移動平均線が、現在のレートよりも上に位置しています。これは、価格の上に期間の異なる複数の移動平均線がレジスタンス（抵抗帯）として分厚い蓋をしており、戻り売りの圧力がいかに強いかを物語っています。上昇を試みても、次々と現れる抵抗線に阻まれやすい、典型的な下落トレンドのチャート形状です。
オシレーター分析: 下落トレンドの継続を示唆
オシレーター系の指標も、総じて「売り」を示唆しています。RSI(14)は36.319で、売られすぎとされる30のラインに近づいていますが、まだ下落の勢いが残っている状態と解釈できます。MACD(12,26)も明確な売りシグナルを継続しており、トレンドの転換を示唆する兆候は見られません。CCI(20)なども含め、多くの指標が下を向いており、下落基調の強さがうかがえます。
テクニカル指標の背景にある市場概況（ファンダメンタルズ）
この株式と為替の対照的なテクニカル指標の背景には、それぞれ異なる材料が存在します。日経平均の「強い買い」トレンドは、前日の米ハイテク株高という外部要因が大きく影響しています。米国の長期金利低下を背景とした投資家心理の上向きが、日本の半導体関連株への買いを誘い、相場全体を牽引しました。
一方、ドル・円の「強い売り」トレンドは、国内の金融政策への思惑が主因です。日銀の田村直樹審議委員による「果断に利上げすべき」とのタカ派的な発言が、市場の追加利上げ観測を強め、金利上昇を期待した円買いを呼び込みました。この結果、ドル・円は一時144円60銭台まで下落し、チャート上に強力な下落シグナルを刻み込むことになりました。
このように、海外の好材料に支えられた株式市場と、国内の金融引き締め懸念に押された為替市場という、異なるテーマがそれぞれのチャートに表れたのが、この日の特徴と言えるでしょう。
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