【① 国内時事ニュースと金融政策の動向】
今週の最大の注目は、黒田東彦・前日銀総裁が発言した「適度な円安は日本の輸出企業にとって有利である」という見解です。この発言は日本国内の報道番組で取り上げられ、政府筋や経団連にも波紋を広げています。円安容認のムードが広がる一方で、国民の購買力やインフレ圧力の懸念も再燃しました。
また、内閣府が発表した2025年5月の景気動向指数(CI先行指数)は前月比+1.2ポイントの上昇となり、景気持ち直しの兆しが見られました。ただし、実質賃金は前年同月比でマイナスを継続しており、消費の本格回復には時間がかかるとの見方が大勢です。
【② 海外時事ニュースと金融・地政学リスク】
今週、世界経済に衝撃を与えたのは、米国トランプ前大統領が「イランへの軍事行動について2週間以内に決断する」と発言したことです。発言はFOXニュースのインタビューで行われ、原油価格に即座に影響を与え、WTIは一時78ドル台まで急騰しました。
また、ユーロ圏ではフランスの極右政党「国民連合」が議会選挙で第一党になる可能性が報道され、フランス国債の利回りが急上昇。金融市場全体にも不安定要因として認識されました。
【③ ドル円為替の動向(ファンダメンタル分析)】
今週のドル円は、一時159.80円を付けるなど円安圧力が再燃しました。
主な要因:
- 米FOMCメンバーによる「利下げは9月以降」との発言
- 日本のインフレ目標達成遅れ
- 輸出企業による月末のドル需要
これに対し、政府・日銀は表立った為替介入を行わず、円安容認姿勢を取った可能性が市場に織り込まれつつあります。
【④ 日本株・米国株の動向と投資戦略】
日経平均株価:
- 週初 38,650円 → 週末 38,220円(▲430円)
- 主因:半導体セクターの利益確定売り、米金利上昇
米ナスダック指数:
- 週初 17,760 → 週末 18,030(+270ポイント)
- 主因:NVIDIAの決算後の上昇、AI銘柄買い
投資戦略:
- 日本株:バリュー株と高配当セクターに資金シフト。
- 米国株:ハイテク銘柄への循環物色継続。
【⑤ テクニカル分析:ドル円・日経平均】
《ドル円テクニカル分析(6月21日時点)》
- 移動平均線(25日):158.30円(上昇トレンド)
- RSI:73(過熱感あり)
- MACD:買いシグナル継続中
- ボリンジャーバンド:+1σ〜+2σの上限で推移
- 一目均衡表:雲の上限突破済
→ 結論:過熱感はあるが、円安トレンドは継続。160円突破の可能性も視野。
《日経平均テクニカル分析(6月21日時点)》
- 移動平均線(25日):38,520円(下向き)
- RSI:47(中立)
- MACD:デッドクロス警戒
- ボリンジャーバンド:横ばい圏
- 一目均衡表:雲下抜けの兆し
→ 結論:テクニカル的にはやや弱含み。37,800円近辺までの調整余地。
【⑥ 今週の注目材料・イベント総括】
- 6/17(月):中国鉱工業生産指数(前年比+5.6%、予想上回る)
- 6/18(火):米小売売上高(前月比+0.1%、市場予想下回る)
- 6/19(水):イラン政情不安再燃、原油急騰
- 6/20(木):日銀金融政策決定会合の議事要旨公表(ハト派的)
- 6/21(金):日本CPI(前年比+2.9%)で日銀緩和長期化観測強まる
【⑦ 総括と今後の見通し】
今週は地政学リスクと中央銀行の金融政策姿勢が交錯し、株為替ともにボラティリティの高い1週間となりました。
来週は米個人消費支出(PCE)デフレーターや、パウエルFRB議長の講演が予定されており、インフレと利下げのタイミングに対する見通しが焦点となります。
為替は160円台突破が現実味を帯びており、日本株は37,800円〜38,500円のレンジでのもみ合いを想定。投資家は引き続き、ヘッジ戦略と分散投資が有効です。
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